国際学術集会参加レポート
アメリカ老年学会(The Gerontological Society of America:GSA)
2009年11月18日〜22日 ジョージア州アトランタ(アメリカ合衆国)
2010/01/08 掲載
参加報告
深堀浩樹(東京医科歯科大学大学院保健衛生学研究科看護システムマネジメント学 講師)
- 2009年11月18日から22日にアメリカ合衆国ジョージア州アトランタ市で開催されたThe Gerontological Society of America 62nd Annual Scientific Meetingにポスター発表のため参加しました。ウェブサイトによると,この学会は1945年に設立され老年学に関する多くの領域の研究者、実践家が会員となっており,Annual Meetingには40カ国以上の国からの参加があるそうです。発表演題は、(1)Biological Science, (2)Behavioral and Social Science, (3)Health Science, (4)Social Research, Policy and Practiceの4つに分類されており、多くの領域の研究者が交流・協働している様子が肌で感じられました。
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- 写真1.エキシビジョン
- オープニングセッションでは、アーティストのEric Wahl氏によって、学会のテーマにちなんで、創造的・革新的な活動をした人々の絵をステージ上にて即興で描く(しかも手のひらで描いてました)というエキシビジョンが行われ、華やかな雰囲気で学会が始まりました(写真1)。写真一番左は、開催地であるアトランタ出身のノーベル平和賞受賞者、キング牧師ですが、残り2名は誰かお分かりになるでしょうか?これらの絵は学会開催期間中に会場に掲示されオークションにかけられていました。その料金は学会に寄付されるそうで、日本ではあまり目にしない趣向で面白かったです。
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- 今回、私は共同研究者として関与しているプロジェクトに関する発表を行いました。発表演題名は"Developing and Field-Testing a Web-based Educational Program for Gerontological Home-Care Nursing"で、(3)Health Scienceの枠での発表となりました。発表内容は、私たちが現在取り組んでいるウェブサイトを用いた訪問看護ステーションの支援プログラムの立ち上げとパイロットテストについてで、まだ開始したばかりの研究であるため、支援用のウェブサイトの構築に関して主に発表してきました。
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- 写真2.ポスター前にて
- 多くの研究者とディスカッションを行うことができ、看護系の研究者では、米国で、看護職を対象としたウェブサイトを用いた教育プログラムを開発・運用しているという方と情報交換を行いました。その他、IT技術を用いた高齢者向けのケアサービスに関心を持っているというInformation Technologyの研究者数名からも質問を受けました。会場で、高齢者を対象としたITを用いた教育プログラムなどの演題を複数目にしたことも考え合わせ、IT技術への老年学領域での関心の高さを感じました。
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- その他、会場をめぐり様々な発表を見聞きしました。日本でよく使用されている介護負担尺度Zarit Burden Interviewの開発者であるZarit博士をお見かけしたり、自分が過去に論文を多数引用させていただいた研究者数名とお話したりする機会もあり、これも国際学会のひとつの醍醐味だなあと思いました(ミーハーですが…)。一方、過去に行った研究がまだ投稿作業中でpublishされていなかったり、自分の英会話力の不足だったりで、研究に関して詳細な討論ができない場面もあり、自分の課題を再確認することもできました。
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- 学会を通じた感想として、日本以外の東アジア出身の研究者が活発に発表・討論していた印象があります(発表数などを比較したわけではありませんしあくまで印象ですが)。日本人の参加者もいらっしゃっていましたが、中国や韓国、台湾などの方々の姿のほうを多く見かけた気がします。高齢化では世界のトップを走る日本ですから、もっと積極的に国際学会の場でも存在感を示せたらと思いました。自分も研究者の端くれなので、ひとごとのように言っていないで、日本の老年看護の知見をより積極的に国際的に発信していかねばと決意を新たにいたしました。
国際老年学会 (International Association of Gerontology and Geriatrics : IAGG)
2009年7月5日〜9日 パリ(フランス)
2009/08/24 掲載
IAGG参加・施設訪問報告
千田睦美(岩手県立大学看護学部)
鈴木麻美(杏林大学保健学部看護学科)

- IAGG発表ポスター前にて
- 2009年7月5日〜9日まで、フランス・パリにおいて、19th IAGG World Congress of Gerontology and Geriatricsが開催されました。4年に一度の大きな学会で、世界各国から多数の参加者があり、活気に満ち溢れた学会でした。
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- 発表演題数も非常に多く、ポスターセッション会場においては、様々な言語が飛び交い、活発な意見交換が行われていました。
- 高齢者ケアの多様なトピックスを取り上げたシンポジウムも多数行われ、看護だけでなく、高齢者を取り巻く幅広い学問の存在を改めて認識しました。
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- そして、7月6日、7日の両日、海外の高齢者施設のおける看護職等のケア管理・提供に関する調査研究事業の一端として、パリ市郊外にある2つの高齢者施設を訪問しました。訪問した施設は入所者の平均年齢が85歳以上であり、日本の特養のように終の棲家としての機能を担っていました。また施設内は、斬新な色や柄のカーテン、壁紙、家具が使用されており、日本との文化の違いを感じることもできました。施設のディレクターや医師、看護師、心理療法士のお話から、いずれの施設もより質の高いケアを行うための人材確保、チーム連携の必要性を課題としており、わが国の現状と類似する問題を抱えているようにも思えました。
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- 高齢者施設マネジャー・看護師と
- 国際学会に参加し最も印象に残ったことは、高齢者ケアにおける課題はどの国でも山積みであるということ、さらに時間的に猶予のない、待ったなしの状況にあるということでした。そのためにより有効な取り組み策がないか模索している専門職者が情報を求めて集まる場であったと感じました。日本の取り組みは、世界有数の高齢社会での施策モデルとして、諸外国から関心を寄せられている立場にあるのではないでしょうか。国際学会への参加を通じて、世界の情報に関心を寄せられる、また世界に向かって情報を発信することができる看護職になれるよう努力を積み重ねたいと強く感じました。
2009/08/24 掲載
IAGG(パリ)学会
高井ゆかり(東京医科歯科大学大学院高齢者看護・ケアシステム開発学博士後期課程)

- 発表ポスター前にて
- 7月にフランスのパリで行われたInternational Association of Gerontology and Geriatrics (IAGG)による国際老年学会に参加した。学会へは、世界中から7000人近い参加者が集まり、朝8時から夜7時までびっしりと発表やシンポジウムが行われていた。フランスで行われた学会だったが、発表は英語で行われた。今回の学会では、昨年実施した認知症高齢者の疼痛強度をアセスメントするためのスケールの検証(アビー痛みスケールの日本語版)についてのポスター発表と、疼痛アセスメントスケールを用いた研究についての情報収集をすることを目的としていた。
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- 学会会場のポスター掲示用ボードに「○○(実名いり)航空に荷物として預けたポスターが紛失したため、今回発表ができません。(英語)」とメモが貼ってあったのをみてぞっとしつつ、用意したポスターを無事に貼り、ほっと胸をなでおろした。その後、研究に関する質問にも、ポスターの表をつかったり身振り手振りでなんとか答えることができた。
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- 会場で、同じくアビー痛みスケールを用いた研究を行った香港からの博士課程の学生や疼痛アセスメントスケールの使用に関する教育的な介入研究を行ったカナダからの研究者と話をすることができ、研究結果を比較したり、今後も情報交換していこうとメールアドレスの交換ができたことは、今後の研究への励みとなった。また、研究論文を通して名前を知っていたオランダの研究者の少しアクセントのある英語を聞いて妙に親近感がわいたり、研究に対して同じ問題意識を持っていることをうれしく思ったりもした。さらに、高齢者の疼痛に関する研究分野では著名な研究者の最新の研究成果や国際疼痛学会の今後の展開予定を聞くことができたのも、このような国際学会に参加したからこそだと思った。
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- 今回の学会参加を通して感じたことは、英語が母国語でない研究者も多く存在し、英語によってコミュニケーションをとるのが大変なのは私だけではなく、英語に関しても努力しているのだろうということだった。これからも英語の勉強を頑張っていこうと思った。また、今まで遠い国でのことと思っていた研究や研究者に実際に接することができ、「日本国内では初めての研究」で満足していた自分から、「世界の研究動向の中での自分の研究の位置づけ」を意識するきっかけになったことは大変有益であったと思う。今回の経験を今後の研究活動に生かしていきたいと思う。(今回の学会参加は、聖ルカ・ライフサイエンス研究所の助成を受けて参加した。)